Japan Association for Medical Informatics

[3-C-3-OP22-2] 急性腎障害(AKI)回復後の血清クレアチニン値安定期間とAKI再発率の関係性

伊藤 史剛1, 中村 明日人1, 永田 桂太郎2, 畠山 豊2, 奥原 義保2 (1.高知大学医学部医学科先端医療学コース, 2.高知大学医学部附属医学情報センター)

背景:急性腎障害(AKI)は発症によって生命予後が悪くなることや腎機能低下の危険因子となっている。AKI回復後においても腎機能に障害が残る可能性があり、その一つとしてAKI再発がある。
目的:AKI回復後腎機能が安定した状態を維持した日数とその後のAKIの再発率の関係性を明らかにする。
方法:高知大学医学部病院情報データベースに保存されている1981年から2016年までのデータを利用し、KDIGOガイドラインにしたがって、AKIを発症した患者を抽出した。AKIの回復をAKI発症前のクレアチニン値(sCr)まで低下することと定義した(n=5829)。回復後のsCr値を基礎値とし、sCrが基礎値+0.3mg/dl以下にとどまる状態を安定、安定を維持した期間を安定期間と定義した。安定期間が終了した時点を生存時間解析の開始時とし、その後のAKI再発までの期間を生存時間と定義した。患者を安定期間の長さに応じて分類し生存時間解析を行った。
結果:AKI回復後の安定期間で分類したカプランマイヤー曲線より、安定期間が3日以内、4~7日、8~30日、31~60日, 61日~90日, 91日以上で比較すると安定期間が短いほどAKIの再発率が高くなった。上記の安定期間の患者群のAKIの7日以内の再発率は順に28.6%、12.8%、6.5%、3.6%、3.4%、0.2%、30日以内の再発率は45.9%、30.5%、18.6%、15.4%、11.0%、1.0%、90日以内の再発率は53.3%、35.0%、25.1%、23.1%、17.8%、2.7%となった。これ以上の長期間では変動があまりなかった。
考察:安定期間が7日以内と8日以上の群で再発率に大きく差があるため、回復後7日以上の観測必要性が示された。また、AKIによる腎組織の損傷の程度が安定期間に反映されている可能性も示唆された。