Japan Association for Medical Informatics

[3-C-3-OP22-3] 経口血糖降下薬の違いによる腎機能低下の差異の評価

中村 明日人1, 伊藤 史剛1, 永田 桂太郎2, 畠山 豊2, 奥原 義保2 (1.高知大学医学部医学科先端医療学コース, 2.高知大学医学部附属医学情報センター)

【背景・目的】糖尿病性腎症は糖尿病の重篤な合併症の一つであり、患者数は年々増加している。経口血糖降下薬の選択の違いによって腎機能低下の進行に違いがあることが指摘されているが、結論はついておらずさらなる研究が必要とされている。本研究は糖尿病患者における糖尿病治療期間中の腎機能変化を診療データによって調べ、経口血糖降下薬の違いによって腎機能低下に差異があるかを明らかにすることを目的とする。
【方法】高知大学病院に蓄積された1981年から2016年までの診療データから経口血糖降下薬を投与された患者のうち、19歳以上かつeGFRが30以上である患者を抽出した。抽出した患者を使用薬ごとにα-GI群(N=951)、ビグアナイド群(N=433)、グリニド群(N=193)、DPP-4阻害薬群(N=986)、SGLT-2阻害薬群(N=20)、チアゾリジン群(N=495)の6群に分類した。カプランマイヤー法により生存曲線を求め比較検定を行った。本研究では各経口血糖降下薬初回投与日を生存時間解析のゼロ時とし、投薬開始時点でのeGFRに対する対象期間中のeGFRの比を観察した。エンドポイントをeGFR比が70%未満となることに設定し生存期間曲線を求めた。
【結果】1000日経過時点でチアゾリジン群(イベント未発生割合:0.839)、α-GI群(0.8064)、ビグアナイド群(0.8060)、グリニド群(0.762)、DPP-4阻害薬群(0.714)であった。DPP-4阻害薬群はビグアナイド群、チアゾリジン群、α-GI群に対し有意に低値を示した。(ログランク検定p値<0.001)
【考察】1000日以降の長期服用において腎機能低下を考慮する場合DPP-4阻害薬はビグアナイド薬、チアゾリジン薬、α-GI薬より優先度は低くなると考えられる。