Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-PS7-2] NST活動をサポートする多職種連携ツール

草深 裕光 (名古屋記念病院)

当院では2005年から全科型NST活動を開始したが、当初よりその活動を支援するため栄養管理システムをFileMaker®で開発、基幹システムと連携させて活用している。本システムは、多職種が連携する業務を行うための入院管理アプリケーションの一部として動作し、NST活動に必要な評価項目、計算、出力書式、承認、カルテ保管、情報共有機能が用意されている。2012年には、①標準体重比80%以下②褥瘡③経腸栄養も含めて食事摂取に問題④外見上栄養不良の4項目のうち1項目でも該当すれば栄養不良のリスクありとする入院時簡易栄養スクリーニング(NSSA)を開発し、SGAで判定した栄養不良症例に対する感度は87. 2%、特異度が86.5%であり、有用なスクリーニング法と報告、以後効率的なNST介入が可能となった。近年、加齢や認知症を背景にして、誤嚥性肺炎での入院をきっかけに早期の退院が困難となり、大きな問題となってきた。誤嚥性肺炎は、NSSAで栄養不良のリスクがあると、ない場合に比べて入院期間は長く、自宅への退院が困難となりやすい。そこで従来の栄養管理だけでなく、日常的なケアを担当する看護師が嚥下スクリーニングと嚥下機能評価を実施し、その結果に基づいて対応を決定、食事記録方法を統一、看護師による摂食機能療法の提供を行えるようにした(A)。さらに、口腔ケアに注目して口腔内評価(OHAT)を行う(B)とともに、本システムもアップデートした。この間、誤嚥性肺炎の患者、特にNSSAリスクありが増加し、誤嚥リスクの少ない患者が減少したものの、死亡退院、自宅退院、入院日数に差はなかった。リスクのない患者では (A)により入院日数、20日を超える入院が減少し、(B)の追加で60日を超える入院が減少した。本システムは、多職種が連携する独自の取り組みについて、速やかに具体化、実行に移し、結果を評価した上で改善につなげるプロセスを効率的に支援することができた。