Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-PS7-4] 死亡退院オーディットシステム

松波 和寿, 荒川 隆, 山北 慎吾, 三柳 勝也, 宇佐美 深雪 (松波総合病院)

当院ではTQM(Total Quality management)の一環として、QSR(Quality Survey and Recommendation)という活動を行っている。院内で発生する事案を拾い上げ、適切な導きを行い医療の質向上を目指す仕組みである。疑義症例、院内感染、医療安全上の問題等に関して報告に上がってこない事例も見つけ出し検討する。その中で、全死亡症例をスクリーニングし一連の治療において問題がなかったかどうかを重点的に行っている。
当院の医療情報システムは電子カルテシステム、ドキュメント管理システムと、ファイルメーカープロで作られたCSS(Clinical Supporting System)の3つを中心に構築されている。患者基本情報は電子カルテに登録されるとほぼ同時にファイルメーカープロにもデータが作られ同期が図られている。入院発生時はCSSに入院登録された後に、電子カルテに入院登録される仕組みになっているため入院情報も同期が取れている。入退院に必要な書類類は全てCSSで作成されたドキュメントとして電子カルテにも送られる。退院時サマリーも例外ではなくCSSで作成されることとなる。したがってCSS上で死亡退院患者を抽出することは容易である。
QSRでは週二回ほど委員が集まり死亡症例を一覧し、それぞれサマリー内容、電子カルテ記載記事等を検証している。まず入院までの経過から始まり、診断に至るまでの経緯、行われた検査内容、治療内容が妥当かどうか。更にはICの取り方や内容の記録、死亡診断書を確認する。遺族の反応、死に対してどのように受け止めているかも重要な項目である。
これらを行うことにより診療録の質的評価のみならず治療内容まで踏み込む事ができ、客観的な評価をすることにより全体の医療の質向上に貢献することとなる。