一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-1-PS7-6] 免疫抑制治療に関連したB型肝炎ウイルス再賦活化モニタシステムの作成と効果

山本 康仁 (東京都立広尾病院)

医療費削減にともなう財政状況の悪化が病院運営に大きな陰を落としている。平均在院日数の短縮は効率化の要であるが、医師、看護師の増員が困難ななか雑務が増え、医療情報システムは逆に負担を増やしている。ノンカスタマイズパッケージの利用が一般化し業務にシステムを合致させることが出来ない。パッケージシステムも成熟したとはいえ、日々知識が更新される医療現場にリアルタイムで適合しているとは言えない。とくに診療判断支援領域は、ソフトウェアの設計施工に厳重な工程管理とリスク管理を導入している大手パッケージメーカーに即時対応を求めることは困難である。ただし品質の低い内製システムを導入するのではなく、医療安全領域に集約し、リスク分析をしたうえで開発導入した。

方法
免疫抑制治療に関連したB型肝炎ウイルス再賦活化モニタシステムを新たに開発した。これに先立ち厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課に、一施設に限定するなら本プログラムが改正薬事法上プログラム医療機器には該当しないことを確認した。つぎに経済産業省、医療用ソフトウェア分野 ヘルスソフトウェア開発に関する基本的考え方 開発ガイドライン2014に従い、リスク分析を行った。

システム構成と効果測定
本システムは富士通製EGMAIN-GXにアドオンする形で、免疫抑制剤の使用対象患者のカルテを開いたときに自動的にガイドラインを表示する。フローチャート上に最新の検査結果を示すとともに、ガイドラインに従い推奨する行為を示した。あわせて免疫抑制に関わる治療薬歴やウイルス学的的検査結果を一覧で示した。
また、薬剤師が患者横断的にモニターできる一覧画面を用意し、担当医師名や表示の状況、追記コメントなどを検査結果とともに俯瞰出来るようにした。
効果判定方法は先にモニターのみ3ヶ月間行い、ガイドライン遵守率を測定。その後ガイドラインを表示し、判断に介入することで遵守率がどのように変化するか測定した。

結果については本発表にて行う予定である。