Japan Association for Medical Informatics

[3-D-3-OP23-2] 放射線レポートの見落とし防止に向けたToDoアラートシステムの構築

武田 理宏1, 藤井 歩美2, 村田 泰三2, 上田 郁奈代1, 中川 彰人1, 真鍋 史朗1, 田中 壽3, 三原 直樹4, 松村 泰志1 (1.大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学, 2.大阪大学医学部附属病院 医療情報部, 3.大阪大学大学院医学系研究科 放射線医学, 4.国立がん研究センター中央病院 医療情報部)

【はじめに】放射線レポートの見落としは、特に重要所見があった場合に重大なインシデントとなる。レポートの見落とし防止に向けては、未読リストによる介入が一般的である。しかし、正しく未読レポートを把握することは容易でない。そこで、当院では、放射線読影医が「予期せぬ重要所見」の発生をアラート通知することで、重要所見の見落としの防止を図ることとし、システム構築を行った。
【方法】ToDoシステムは文書作成依頼やカウンターサイン依頼、疑義紹介など医師に対するToDoをリスト表示するシステムである。ToDoは通知先医師に電子カルテログイン時に通知される他、患者選択時のトップ画面に表示される。「予期せぬ重要所見」アラートはToDoシステムを用いることとした。放射線読影医は「予期せぬ重要所見」があった場合、放射線情報システムでフラグを立てることで、ToDoシステムに通知が行われる。ToDoの通知先はオーダ医を既定とするが、初診外来後など、オーダ医と結果説明医が異なる場面を想定して、オーダ時に指定できる仕様とした。また、ToDoシステム上でも、通知先医師を変更し、通知を転送することを可能とした。
【結果】2016年12月から2017年5月の放射線オーダ(一般撮影は読影依頼が出されたオーダのみ)を解析の対象とした。「予期せぬ重要所見」のToDo通知は一般撮影が10,989件中41件(0.4%)、CTが25,070件中56件(0.2%)、MRIが6,170件中6件(0.1%)、PET-CTが1,158件中6件(0.5%)、消化管内視鏡が3,767件中3件(0.1%)であった。ToDo通知先がオーダ医から変更されたのは、一般撮影:2件、CT:5件、MRI:2件にとどまった。「予期せぬ重要所見」のToDo消去は一般撮影:26件(63%)、CT:42件(75%)、MRI:6件(100%)、PET-CT:5件(83%)、消化管内視鏡:2件(67%)に留まった。未消去のToDoは監査により、カルテ上ではすべてが正しく処理されていることを確認した。
【総括】ToDoアラートシステムは重要所見の見落とし防止に貢献したが、ToDoアラートの消去に関しては課題を残した。