[3-E-1-PS8-2] 医療安全の維持と情報保管の関連性について
病院で取り扱う医療情報には、患者のための情報と医療従事者のための情報という二面性がある。しかしながらこれら二つの情報は明確に区別できない。正確な医療行為の十分な記載は、患者と医療従事者の信頼関係にとって非常に有用である。医療が正しく行われるための前提条件として、患者および医療従事者の十分な情報共有がある。患者自身がどのような治療を受けるかを知っており、医療従事者がどの患者に対して医療行為を行うか、何のために行うか理解しており、それがいつどこで行われたのか記録し、その結果を評価することが重要である。これを実行するために存在するのが、説明同意文書であり、オーダー・指示受けであり、実施記録であり、サマリーやSOAPのPである。医療行為が複雑化し、知るべき情報も記録すべき観察項目も書くべき書類も増加し、医師も看護師も余裕がなくなっている。この状況でもっとも軽視されるのは、患者の状態に直接関与しない確認行為となるのは必然である。また医療安全の観点から医療情報システムに求められるのはまさにこの点の強化となる。確認行為の重要性は誰にとっても明らかなので、医療情報システムを構築する立場としてはこれに必要な操作不可を極力小さくするするしかない。正確な患者IDや正確な対象物IDの入力から起動するプロセスで構築されていたものを、あらかじめ予測されるその場所でその時間行われる可能性の高い行為をもとに対象物につけられた複数のコードによる絞り込み確認に代えることによって操作負担の解消や時間短縮が図れる。バーコードやRFIDだけでなく精度を問わないさまざまな生体認証を複数組み合わせ、やりやすいコードから確認・認証操作を行えばかなり省力化できる。その分システム側で蓄えられるべき情報も有機的に連結して予測をする機能が必要となるが、計算資源のコストは低下している。今後どのような仕組みが考えられるか議論する。