Japan Association for Medical Informatics

[3-E-1-PS8-3] 「異業種向け効率管理の看護現場への応用」

小川 純生 (小林クリエイト株式会社)

近年、看護師不足がクローズアップされさまざまな対策が打たれ年々就業者数は増加してきてはいるが、需要に対してはまだまだ足りない状況である。また諸外国と比べても、病床あたりの看護師数は半分にも満たない数となっている。さらに看護師の仕事は多様化し、いくつもの仕事を掛け持ちしなければならない状況が続いている。このような多くの掛け持ち仕事をこなしている中ではミスが発生しやすく大きな事故につながる可能性もある。

では、同じような一分一秒を争う仕事をしている他の業界ではどのようにその仕事の質を維持しているのだろうか。その代表的な見本は自動車産業の生産システムにある。ここで例に挙げるのはトヨタ自動車の生産システムであるが、トヨタ自動車はこれにより高品質低コストを実現している。大きく2つの柱があり、一つは自働化、一つは部品供給システム(ジャストインタイム)である。「自働化」とは一言でいうと、異常が発生したらラインや機械を止めることにより不良を最小限に止め、問題点を明確にし、改善に結びつけることである。そのための道具として「アンドン」がある。アンドンとは生産ラインのいたるところに紐がぶら下がっていてそれを引くと現場のどこからでも見える電光掲示板にランプが点き、どこで異常が発生しているかが一目瞭然にわかるようになっている。それによりトラブル、弱いところの顕在化を行い、次の改善対象を明確にしている。(これがよく言われる「見える化」である。)

看護の現場でも、例えば無線のナースコールシステムなどを応用し、この「アンドン」のように、誰が手一杯なのか、どこで苦労しているのか、今どこで異常が発生しているのかといったことを顕在化することが一番大事なことで現場の改善につながる第一歩だと考える。