Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-OP16-3] 糖尿病ICT自己管理支援システム(DialBetics)のイタリアにおける有効性

木村 滋子1, 脇 嘉代1,2, 澁田 朋未3, 富澤 修子1, 児玉 和代1, 永友 利津子1, 高野 暁乃1, 藤生 克仁1, 山口 聡子1, 豊岡 継泰4, 門脇 孝1, 大江 和彦5 (1.東京大学大学院医学系研究科健康空間情報学講座, 2.東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科, 3.東京大学大学院医学系試験科健康科学・看護学専攻成人看護学分野, 4.株式会社NTTドコモライフサポートビジネス推進部, 5.東京大学大学院医学系研究科医療情報経済学分野)

【背景・目的】地中海食で知られるイタリアにおいても、高齢化および糖尿病患者の増加が問題である。同国のスマートフォン普及率は66%に上りICTによる疾病管理への関心も高い。我々が開発したICTによる2型糖尿病患者自己管理支援システム(DialBetics)のイタリアにおける有効性を検討した。
【方法】Fondazione Salvatore Maugeri病院(伊国Pavia)に通院中の2型糖尿病患者36名(35~65歳、HbA1c 6.5~8.2%、非インスリン治療)を対象にイタリア版システムを用いた3か月間の臨床試験を行った。本システムは自宅での測定結果(血糖値/血圧/体重)を日本糖尿病学会の基準に従い判定し、登録された食事と運動記録をデータベースと照合して栄養/活動量を解析し生活習慣を改善するためのアドバイスを行う。試験期間中は1日2回(起床時/眠前)血糖値、血圧、体重を測定し、食事と運動を登録した。試験開始時および終了時にインタビュー調査と測定(身長/体重/ウエスト周囲径/血圧/HbA1c)を行った。食事は同一日に朝・昼・夕食を全て登録した日の栄養素等摂取量を算出し、開始時と終了前の各2週間の摂取量を比較した。
【結果】対象者は年齢56.3±6.4歳、開始時の測定値はBMI 31.7±5.9 kg/m2、ウエスト周囲径108±16 cm、HbA1c 7.1±0.7%だった。終了時のBMI(-0.7±1.1 kg/m2, p=0.001)、およびHbA1c(-0.4±0.8%, p=0.002)が有意に減少した。エネルギー摂取量および3大栄養素は何れも有意な変化が認められなかった。インタビュー調査より、測定値を意識するようになったなどの意見が聞かれた。
【考察】イタリアにおいても本システムの有効性が示唆された。測定値のモニタリングにより、生活習慣に対する意識が高まった結果であると考えられた。