Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-OP16-6] 推定体厚を使用したLocal Diagnostic Reference Levelの設定

安渡 大輔1, 谷川原 綾子2, 辻 真太朗3, 小田 まこと1, 山下 道明1, 荒井 博史2, 伊藤 陽一4 (1.北海道大学病院 医療技術部 放射線部門, 2.北海道科学大学 保健医療学部 診療放射線学科, 3.北海道大学大学院 保健科学研究院, 4.北海道大学大学院 医学研究科)

【目的】放射線検査における医療被ばくの最適化について、被ばく線量の目安値である診断参考レベル(Diagnostic Reference Level: DRL)をふまえ、各医療機関で適切な被ばく線量管理を行うことが求められている。各医療機関でDRLを有効活用するために、装置や手技の違いを考慮したDRL(Local DRL: LDRL)の研究が進められている。LDRLを設定する際、標準体型の患者を利用する。X線撮影では体厚が基準となるが、患者の体厚のデータの抽出が困難である。そこで、本研究は、患者の身長と体重から推定した体厚を用いたLDRLの設定について検討した。
【方法】2013年10月1日から2015年2月28日に北海道大学病院で実施されたX線撮影全171239件を対象とした。そのうちJ-RIMEが公表した撮影項目に則りデータを抽出した。放射線部門システムからJJ1017-16M、管電圧(kV)、管電流(mA)、撮影時間(ms)、身長、体重、年齢を抽出した。まず、先行研究にて提案された身長と体重、年齢からの体厚の推定法を利用し、診断参考レベルに則った標準体型の患者のみを抽出した。次に、Numerical Dose Determination法により各X線撮影に対して撮影条件から表面線量を算出し、JJ1017-16Mを用いて撮影項目ごとに分類した。分類されたデータをボックスプロットにて表現し、その中央値をLDRLとし、J-RIMEより公表されたDRLとを比較した。
【結果・考察】J-RIMEが公表した撮影項目に則って抽出したデータは62791件である。標準体型のデータは9562件(15%)であった。標準体型から得られたLDRLとDRLを比較した結果、DRLを超えている撮影項目は存在しなかった。標準体型データを使用する場合、データ数が15%に減少したため、検査数が少ない撮影項目では十分なサンプルが得られない可能性があると考える。