一般社団法人 日本医療情報学会

[3-F-2-JS4-3] 電子カルテとデータ連携したCDISC標準準拠の電子症例報告システムの構築と循環器領域での活用

武田 理宏1, 真鍋 史朗1,2, 中川 彰人1, 服部 睦2, 高橋 大曜2, 砂 真一郎3, 彦惣 俊吾3, 中谷 大作3, 坂田 泰史3, 松村 泰志1,3 (1.大阪大学大学院医学系研究科医療情報学, 2.株式会社エムケイエス, 3.大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)

近年、臨床研究は多施設で行うことが求められる。既存のデータ収集システム(EDC)は電子カルテ(EMR)と連結していないため、EMRからEDCへの転記作業が発生する。このことは転記のための人手が必要であることに加え、転記ミスが生じるリスクがあり、モニターによる診療録の確認作業(SDV)が必要となる。我々はEMRとEDCの二重入力を排除し、臨床データを収集するシステムを考案した。本システムはCDISC標準規格に準拠したフォーマットでデータセンターとデータの受け渡しを行う。本システムは単体のPCにインストールすることで、通常のEDCとしても利用できる。EMRとEDCの連携は3社の電子カルテで実現し、データ転記型(NEC)、直接記録型(NEC, IBM)、データ転送型(FUJITSU)の連携を行う。
循環器領域では本システムを使用し、3件の臨床研究が行われている。1件目は心房細動に関する後ろ向き観察研究で2015年4月から登録を開始し、2016年8月に終了している。参加施設は6施設で、2イベント、432の登録項目に対し114症例が登録された。2件目は心房細動アブレーションの無作為割付け試験で2016年3月より登録を開始し、現在も研究は継続している。本システムに症例登録をすると、システムにより無作為割り付けが実施され、その結果が研究者に通知される。参加施設は8施設で、11イベント、1316の登録項目に対し、現在までに481症例が登録されている。3件目はHFpEFに関する前向き観察研究で2016年5月に登録をし、現在も研究は継続している。参加施設は26施設で10イベント、2631の登録項目に対し、現在までに264症例が登録されている。
現在、EMRとEDCが連携しているのはデータ転記型を使用している3施設に留まるが、今年度中に14施設(NEC:9施設、IBM:1施設、FUJITSU:4施設)に広げる予定である。さらに、本システムと連携して、臨床画像の自動取得、臨床サンプルのラベル発行を可能とするシステムの導入を計画している。