Japan Association for Medical Informatics

[3-F-2-JS5-3] ―口腔ケアを行う急性期病院の看護師の視点から―

荒木 佳子 (社会福祉法人聖母会聖母病院)

超高齢社会において急性期病院への高齢者の入院は増加の一途をたどっている。高齢者の入院はさまざまな機能の低下につながり、元の生活の場に帰れなくなるケースも多い。特に摂食機能の低下は生命の維持を左右する。食事摂取が困難になった場合に代替手段で栄養補給をするという選択肢もあるが、人は自分の口で食物を味わうことによる喜びを生きる糧とするものであり経口摂取は何物にも代えがたい。また摂食機能が維持されていれば、言葉を用いたコミュニケーション機能の維持に繋がり、咀嚼や味覚から得る脳への刺激は全身に及ぶさまざまな機能の維持につながる。
当院においても摂食嚥下チームの活動により摂食機能の評価とリハビリや口腔ケアにより食べられる口作りを目指している。チームは、院内の耳鼻科医師、言語聴覚士、看護師、理学療法士、栄養士に加え、地域の歯科医師も加わっている。当院は歯科を持たないため、歯科とのつながりを持てたことによって退院後も継続的に口腔ケアを行う体制づくりも一緒に検討されている。
現状において、入院後に看護師が口腔ケアを行う時点で歯科情報はないことが多く、看護師のアセスメントによりケアが実践されている。また最近は認知症があることが摂食の問題を複雑にしているケースも増えており、長い生活歴を知ることが問題解決につながることもある。かかりつけ歯科医からの情報を得る機会はまだ少ないが、今後地域包括ケアシステムを機能させていくために情報の共有は欠かせない。
このワークショップでは口腔ケアを行う急性期病院の看護師の立場からどのような歯科情報が臨床で役立てられるかについてお示ししたい。