一般社団法人 日本医療情報学会

[3-F-2-JS5-4] ―地域医療ネットワークを運用してきた医師の視点から―

舛友 一洋 (臼杵市医師会医療福祉統合センター)

“うすき石仏ねっと”は大分県臼杵市内の医療・介護機関を結ぶ情報ネットワークです。人口4万人を切った臼杵市の小さなネットワークですが、既に14,000枚以上の「石仏カード(フェリカカード)」を発行しています。様々な機関から集められた情報は、同意者(カード保持者)が、石仏カードを提示することで、閲覧可能となります。
“うすき石仏ねっと”には、病院、医科診療所、歯科診療所、調剤薬局、訪問看護ステーションなどの医療機関は言うにおよばず、居宅事業所、介護老人施設、介護福祉施設などの介護系機関さらには地域包括支援センター、臼杵消防署、臼杵市役所、大分県中部保健所などの公的機関も参加しています。
“うすき石仏ねっと”は参加機関・参加職種の多様さ、参加率の高さおよび機能の豊富さのみならず、以下の点でも評価されています。
 市民、患者の参加率
 同意の在り方、データ閲覧許可の仕組み
 システムを継続するための行政との協働
 データ利活用による医療費削減
 救急医療や災害対策へのデータ利活用
現在我々は、総務省のクラウド型EHR高度化事業を活用し、(臼杵市外の)高次機能病院との連携、母子手帳の電子化(ワクチン接種記録や小児健診データ共有)およびスマートメディアの活用(同意者閲覧機能、在宅医療・介護情報の共有)などにも取り組んでいます。
地域の総力戦と言われる地域包括ケアシステムにおいて、ICTの活用のなくてはならないものと位置づけられています。今回は、歯科情報共有を中心に、小さな町の大きな挑戦、市民のほとんどが参加するネットワークを目指す我々の試みをお話しさせていただきたいと思います。