Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-PS9-3] 匿名加工に関する技術的ガイドライン策定にむけて

木村 映善 (愛媛大学医学部)

個人情報保護法下において、第三者提供をする場合は原則的に事前に同意を取得しておくこと、またデータの取得経緯、 提供の記録・管理が求められている。医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(次世代医療基盤法)は、一定条件のもとで事前同意無しにデータ収集をすることを可能にする制度環境を整備し、その結果得られた匿名加工された医療情報の安心・適正な利用を通じて、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を促進し、健康社会の形成に貢献することを意図したものである。認定匿名加工医療情報作成事業者(以下、認定事業者)は高い情報セキュリティと運用管理技術を背景として適切なデータ管理を行い、十分な匿名加工技術を有するなどの一定基準を満たし、医療情報等の管理や利活用のための匿名化を適正かつ確実に行うことが出来る者として国に認定されるものである。次世代医療基盤法中において、「医療情報及び 匿名加工医療情報について、適正な規格の整備」をおこなうものとし、その整備は「国際的動向、医療分野の研究開発の進展等に応じて行う」とされている。また、匿名加工医療情報作成事業を行う者(認定事業者)は、主務大臣の認定を受けるにあたり、様々な書類を提出しなければならないが、その書類の中に「医療情報の整理の方法」「医療情報の加工の方法」が含まれている。
しかしながら、この規格及び認定に係わる基準は現時点では存在しない。そこで、医療情報学会内に「匿名加工に求められる技術要件の研究会」と称する課題研究会を発足させた。
本講では、この課題研究会の立ち位置と、これから策定する匿名加工技術に関する基準、方向性について解説する。