Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-PS9-4] カメラ画像利活用ガイドブックについて

菊池 浩明 (明治大学)

IoT機器の普及に伴い,我々の生活空間を多くのカメラが撮影し,生活者の意図を検知したサービスの向上やビッグデータとしての活用が始められようとしている.病床においても,転倒リスクのある患者の起床や移動を検出したり,睡眠時無呼吸症候群を抱える患者を遠隔モニタリングする応用が考えられる.カメラ画像に対する期待が膨らむその一方で,患者のプライバシー侵害や望まない形でデータが利用されてしまう不安が懸念されている.特に,2017年5月30日に完全施行された改正個人情報保護法の下では,顔画像を機械可読とした特徴量情報も個人番号と同様の個人識別符号に分類され,厳密な安全管理措置が求められるようになった.
そこで,カメラ画像を利活用する事業者に対して,配慮事項を整理して生活者の不安を取り除いた利活用を進めるために,IoT推進コンソーシアム(総務省,経済産業省)では,2017年1月31日に,「カメラ画像利活用ガイドブック」を策定した.本ガイドブックでは,カメラ画像の活用を検討している幾つかの事業者のユースケースから,1. (店舗内等)カメラ画像からの性別,年齢などの属性推定,2. (店舗内カメラ等による)動線データ,行動履歴,3. (駅などの公共空間における)人物の識別とカウント,4. (車外カメラ等からの)道路,混雑度識別,5. (駅などの公共空間での)滞留状況把握などのいくつかの具体的な適用ケースについて,必要と考えられる配慮事項を整理している.本講演では,本ガイドブックの内容を紹介し,カメラ画像が個人情報となる得る条件などを整理する.医療分野におけるカメラ画像の活用における留意点について報告する.