Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-OP25-3] VRヘッドセットを用いた仮想空間上での避難訓練シミュレータの制作

吉村 友希1, 林 裕紀1, 永瀬 宏1, 黒田 尚宏2, 堀 有行2 (1.金沢工業大学, 2.金沢医科大学)

避難訓練は災害から身を守るために日ごろから義務付けて行うことが必要であるが、場所や施設の状況によっては、訓練をすることが困難な場合がある。例えば医療施設や介護施設では、患者の体調等が関わるため、訓練の実行が難しい。さらに身体的にハンデを背負う人の避難は健常者よりも避難ルートの制限や他人の補助が必要になるため、より訓練の回数を重ねておく必要がある。このようなことから、実際に避難訓練を行うことが難しい場合にVRを用いた避難訓練を行うことでより手軽に訓練を行おうと考えた。
開発にはUnrealEngine4を用い、VRデバイスにはHTCviveを使用した。これらを開発に利用する理由は、UnrealEngine4のリアリティのあるグラフィックとVR技術の組み合わせにより没入感とリアリティの強化を図るためである。またブループリントでのスクリプティングによる軽負荷で柔軟なシミュレータの実行を可能にするという面も理由の一つである。
現在のVR避難訓練シミュレータの状況としては、火元と火災の拡大パターンは完全固定となっており、時間経過による変化も炎の範囲の拡大のみであるが、高度なグラフィックや音響による臨場感の高さは確認できた。これを改良し、下記の仕様を新たに実装していく。
今後の開発予定としては、①災害のタイプは火災、②多くのパターンの火災へ対応できるよう、火元のランダム化、③火災が起こった際の安全性の見直し等に役立てるため、時間経過による火災範囲の拡大、煙の充満、炭化等の変化を実装、④実装がやや困難だが、VRを用いた複数人数でのリアルタイムな避難訓練を可能にする、である。このうち、①、②は今年度中の実装を予定している。最終的には、身体的ハンデを持つ人の補助にかかる時間の予測や、避難経路の混雑の解消手段の考慮などにも利用できるシミュレータとする。