Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-OP25-6] センサーマットの時系列バイタルサインに基づく看取り時期の予測

珠玖 隆行1, 坂野 紀子2, 森田 瑞樹2, 笠原 真悟2 (1.岡山大学大学院 環境生命科学研究科, 2.岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)

目的:
終末期の在宅患者を看取る際、毎日介護する家族にとって看取り時期を予測できることは家族自身の心のケアにもつながり、満足のいく最期をむかえる一助となるといえる。先行研究では、がん患者の看取り時期の予測について報告がなされているが、疾患や年齢などに関わらず、バイタルデータのみによる精度の高い看取り時期を予測した研究はまだない。本研究では、敷きマット型センサーにより就寝時(着床時)に計測した心拍、呼吸の時系列データを用いて、亡くなるまでのデータ変化を解明し、看取り時期の予測方法について検討することを目的とした。
対象と方法:
対象は、在宅で看取りデータを計測することができた患者2名とする。計測方法は、寝具のシーツの下にマット型センサーを敷き、就寝時に背中が接触することで、心拍や呼吸、睡眠の深さなどを常時観察した。観察期間は、対象1が8ヶ月間、対象2は9ヶ月間であった。解析方法は、1分毎の呼吸数および心拍数の回数を時系列で頻度分布を作成し、時系列データの確率分布を推定し、そのモーメント(平均、分散など)の変化と死亡日時との関係を調べ、精度の高い看取り予測を検討した。
結果:
在宅終末期における心拍と呼吸の時系列データの解析により、患者が亡くなる約15日~30日前より、両データの時系列の確率分布特性に変化が確認され、この変化検知に基づいて、ラフな看取り予測が可能であることが示された。今回の結果より、亡くなる15日などに看取り時期の予測が可能となれば、家族の心の準備や時間的余裕もうまれ、本人にとっても家族にとっても満足のいく、いわゆる「満足死」を迎える一助となりうるといえる。