Japan Association for Medical Informatics

[3-H-2-PS12-2] 八尾市における病院と薬局における地域連携システムの現状と課題

小枝 伸行 (八尾市立病院)

我が国では、急性期治療と慢性期治療とを切れ目なく継続できるよう、地域で医療機能の役割分担を行い、医療の効率化を行うことが求められている。国はその一つの方策として、ICTを利用した地域医療連携ネットワークシステムにより、情報共有し、全国の多くの地域で地域医療連携ネットワークが構築、運営されている。
八尾市立病院においても平成22年3月、八尾市立病院の電子カルテシステム更新時に、地域医療連携システム(呼称:八尾市立病院 病診薬局連携システム)の導入を決定し、平成23年12月より運用を開始した。導入には八尾市個人情報保護条例のもとに調整を進め、八尾市個人情報保護審議会で承認を得た。運用は、患者個別の同意を基本としており、導入当初から病院の電子カルテデータを市内の診療所、歯科診療所、保険薬局と情報共有している。現在の病診薬連携システムで保険薬局が閲覧できる範囲は、医師の診療記録、処方、注射、アレルギーや副作用などの患者情報(プロファイル)、検査値であり、その他に保険薬局からの情報フィードバック機能を実装している。
平成28年3月時点における病診薬連携システムの参加施設数は、保険薬局で34施設であり、薬局における共有患者数は192名であった。また、平成26年度の薬局における月平均アクセス件数は23.6件であり、実際にアクセスしている保険薬局数は11施設となっている。
平成26年度には保険薬局対象にアンケート調査したところ、「共有できる項目が少ない」や「共有できる期間が短い」といった意見があり、平成27年4月からは、共有範囲を拡大や保険薬局からの情報をフィードバックする仕組みを整備するなどの変更を行った。
地域医療に対してはICT連携が地域医療を充実するツールとして重要なキーワードである。多くの費用をかけて構築されているシステムを有効に利活用するために、薬局との情報連携ではどのような情報連携が必要になるのか、事例を挙げて議論する。