Japan Association for Medical Informatics

[3-H-2-PS12-3] 保険薬局における臨床検査値と服薬情報提供書(トレーシングレポート)の活用

鈴木 高弘 (日本調剤 薬剤本部)

薬剤師は、医師・看護師等の医療従事者と信頼関係を構築し、医療の担い手の一員として、薬物療法の質の向上と安全性の確保のために業務を展開すべきである。すなわち、薬剤師は、質の高い薬物療法を実現させるために、重篤な副作用を軽減または回避させ、治療効果を高めることに貢献すべきである。このような背景を踏まえ、薬局薬剤師は、在宅医療を含めた外来患者様の薬物療法を支援することを念頭に日々業務に邁進している。そして近年は、患者様を守るために薬物療法に付随する情報の伝達・共有の新しい手段が活発に構築されてきた。
そこで本講演では、代表的な「院外処方箋を活用した臨床検査値の共有」や、「服薬情報提供書(トレーシングレポート)の活用」について報告する。

【院外処方箋を活用した臨床検査値の共有】
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が2014年12月~2015年3月に全国8481病院を対象に行った調査によると、薬局に患者情報を提供している2156施設のうち、臨床検査値などの検査結果を処方箋に印字や記載をして薬局に提供している病院は110施設(5.1%)だった。臨床検査値の活用は、薬局薬剤師による処方鑑査の精度を上げ、有害事象の軽減に有用である。

【服薬情報提供書(トレーシングレポート)の活用】
服薬情報提供書(トレーシングレポート)とは、保険薬局の薬剤師が得た情報を処方医へ伝える文書のことである。「緊急性は低いものの、処方医に伝える必要がある」と薬局薬剤師が判断した場合に用いる。伝える情報としては、服薬アドヒアランスや残薬状況、薬剤の開始・変更後に発症した軽度の体調変化、服薬時の負担を軽減するための一包化や剤形の提案など様々である。さらに薬とは直接的な関係のない、患者の訴えや生活習慣の変化などの情報を提供することもある。