Japan Association for Medical Informatics

[3-H-2-PS12-4] 電子版お薬手帳を用いた情報共有

堀越 博一 (一般社団法人 大阪府薬剤師会)

医療とICT〈Information and Communication Technology・情報通信技術)は近年ます
ます密接な関係となっている。
2012年より大阪府薬剤師会で先行して実施して
きた「e-お薬手帳」事業のシステムはレセプトコンピュータ (以下レセコン) からJA
HIS(一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会)で標準化された電子版お薬手帳
データフォーマッ ト仕様書に則り、お薬手帳の情報の一部を電子化するものである
。レセコンから吐き出された情報を二次元バーコード化し、患者がスマートフォン(
多機能携帯電話)で読み取る仕組み、若しくはICリーダライターからNFC (Near field
radio communication・短距離無線通信)規格に準拠した患者のスマートフォンへ非
接触で取り込む仕組みを開発している。
日常の携帯という点からも、電子版のお
薬手帳は患者の薬育または災害時医療においても大きな役割を果たすことが想定され
る。
しかし、現時点においては、 紙のお薬手帳の有用性に一日の長がある。 紙
のお薬手帳は、容易に書き込みができ、また複写する事も出来る。この簡便な運用こ
そ、先の東日本大震災・熊本震災の際にも、その有用牲が大きくクローズアップされ
た一因となっていると考えられる。
それに対し、現在異なるメーカーであっても
ポリシーを同じくするアプリであれば、相互に閲覧できるシステム=「e薬LINK(イークスリンク)」を日本薬剤師会で構築した。本システムは、「お薬手帳の閲覧」のみで完結するのではなく、日本医師会等が構築している地域医療情報連携基盤等との連携・親和性も念頭において開発している。
電子版お薬手帳の今後進むべき方向と薬局-患者-医療機関の聞でのコミュニケーションツールとしての在り方を模索する。