Japan Association for Medical Informatics

[3-H-2-PS12-6] 診察室で必要とされる薬剤および関連情報

岡垣 篤彦 (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)

診察室では限られた時間で患者の病態を把握し、最も適切な薬剤を処方することが必要である。現在使用されている電子カルテでは過去の記録を閲覧する機能が弱く、安全な診療を行なう場合は診療に十分時間をかけてカルテの閲覧を行い見落としを防ぐか、あるいはすみやかに患者の病態や診療経過を把握できるように電子カルテを改良するかいずれかの対策が必要と思われる。
診察室で使用する薬剤を選択する上では、過去に使用した薬剤がその患者の疾患に対してどのような効果を発揮し、副作用が同であったかを把握する必要がある。特に抗癌剤を使用する場合は副作用が発現している状態でそれが許容範囲かどうかを判断しながら使用することが多く、さらに癌細胞に薬剤耐性が出現し、疾患に対する薬剤の効果が変化するため、カルテに記載された疾患情報、副作用情報、使用した薬剤の情報を常に比較し、使用する薬剤の種類と量を調整、変更していく必要がある。
電子カルテには「レジメン機能」と称される抗癌剤の使用をコントロールする機能が付随しているが、これは診療機関ごとに定められた量や投与法で抗癌剤が使用されているかを監視する機能であり、使用量の桁数を間違えるとか、副作用を見逃しているなどの明白な誤りをピックアップする機能としては優れているが、患者の状態を把握しつつ薬剤種別や投与量を調整するような、治療戦略を検討するための機能に弱点がある。
当院では抗癌剤治療をおこなうために電子カルテの所見記載画面のなかに抗癌剤の使用歴を表示し、カルテの記載情報や検査結果の記録と照合しつつ抗癌剤治療を行なう仕組みを実装して使用しているので報告する。