Japan Association for Medical Informatics

[3-H-3-OP20-3] 診療記録として取り扱うべき医療文書の系統的分類の検討

上田 郁奈代1,11, 川上 諒人2,11, 小倉 江利子3,11, 小池 絵美4,11, 小林 弘和5,11, 近藤 直樹6,11, 田中 龍也7,11, 富岡 貴美男8,11, 藤井 歩美1,11, 森藤 祐史9,11, 武田 裕10,11 (1.大阪大学医学部附属病院, 2.松波総合病院, 3.東京医科歯科大学医学部附属病院, 4.竹田綜合病院, 5.平尾病院, 6.名古屋記念病院, 7.みどりヶ丘病院, 8.津山中央病院, 9.大阪急性期・総合医療センター, 10.滋慶医療科学大学大学院, 11.医療文書統合マネージメントシステムユーザー会)

【背景】
病院では様々な医療文書が発生し、その多くが診療記録として電子カルテシステムに保存される。これらの文書は病院の運用に従い作成され、文書名称や分類の粒度は病院毎に様々である。
診療記録文書統合管理システム(DACS)は電子カルテシステムで発生する全ての診療記録を統合管理するシステムで、DACSを導入した病院の多くは診療情報管理士が中心となり文書を系統的に管理している。一方、地域連携での文書共有では、施設間で粒度のそろった文書分類と共通した文書名称が必要となる。

【方法】
文書を系統的に分類するため、DACSユーザー9施設から診療情報管理士を中心とした11名で構成するワーキング(WG)を立ち上げた。
最初に、医療機能が異なるDACSユーザー14施設から文書分類を収集した。病院毎にDACSで取り扱う医療文書の範囲が異なったため、広義の診療記録として取り扱う文書を対象に、分類の粒度を揃えた文書分類一覧(WG分類)を作成した。
利用者の解釈を統一するため、各分類に対し、診療報酬請求に関わる文書と法的に定められている文書について定義付けをした。次に、WG分類を2017年1月に日本医療情報学会が定めたLONICを用いた標準文書コード表と比較した。

【結果】
14施設の文書分類を整理すると804種になった。これらを診療情報管理の観点から検討し、WG分類として383種を採用した。分類に対する定義付けは、これまで診療報酬請求に関わるもの43種、法的に定められたもの31種について行った。
日本医療情報学会の標準文書コードは102種あり、診療記録とするコードは92種であった。その内、WG分類に含まれていないものは委任状、医療機器処方、Advance Directive、在宅記録、転科転棟引継、職歴、その他書類の7種であった。一方、WG分類の内、標準文書コードにない文書分類は319種あり、標準文書コードとの連携について検討が必要である。