Japan Association for Medical Informatics

[3-H-3-OP20-5] 口腔診査情報の標準化案と実装に伴う課題

玉川 裕夫1, 青木 孝文2, 齊藤 孝親3, 鈴木 一郎4, 末瀬 一彦5, 木村 雅彦6, 下邨 雅一6, 小玉 剛7, 杉山 茂夫7, 柳川 忠廣7 (1.大阪大学歯学部附属病院, 2.東北大学大学院情報科学研究科, 3.日本大学松戸歯学部, 4.新潟大学医歯学総合病院, 5.大阪歯科大学, 6.保健医療福祉情報システム工業会, 7.日本歯科医師会)

「目的」
本研究は、歯科診療の初診時に行われる口腔診査で使われる用語を網羅的に収集して電子用語集を作成し,身元確認や在宅診療の場での情報共有が過不足なく行えるか検証することを目的とした.
「方法」
現在,歯科・口腔外科領域で使われている用語を網羅的に収集し,それらを歯の状態,軟組織の状態などとして分類・体系づけた.そして“ある患者さんの最終来院時の口腔状態を,一つの医療機関にある電子データを用いて表現したもの”を口腔状態のスナップショットと定義し,収集した用語に口腔状態のスナップショットを過不足なく表現できるよう粒度(抽象度)を与え,階層構造を持たせた.
「結果」
この用語集は,2016年に厚生労働省の”歯科診療情報の標準化に関する検討会”で報告し承認された.また,診療現場で実際に使えるよう患者基本情報などを加えた用語集は,日本歯科医師会から” 口腔診査情報標準コード仕様Ver.1.0”として2017年3月にリリースされた.
さらに,各メーカが上記” 口腔診査情報標準コード仕様Ver.1.0”に準拠して出力したファイルを医療の国際的な標準規格であるHL7形式にコンバートするための変換テーブルを準備し,日本歯科医師会の実証事業の中でコード変換プログラムを作成した.これによって,歯科用レセプトコンピュータに蓄積されている電子情報が,医科で厚労省標準となっているSS-MIX2形式で蓄積できるようになった.
メーカが変換テーブルを準備するときに明らかとなった課題を中心に,口腔診査情報標準化案でそれらにどのように対応したかを発表する.
なお、本研究は、厚生労働科学研究費地域医療基盤開発推進研究事業(H27-医療-一般- 010)の助成を受けたものである.