Japan Association for Medical Informatics

[3-H-3-OP20-8] MML(Medical Markup Language)の問題点とVersion 4の開発について

小林 慎治1,3, 粂 直人1, 鈴木 卓4, 荒木 賢二2,3, 吉原 博幸1,3, 大橋 克洋3 (1.京都大学EHR共同研究講座, 2.宮崎大学医学部附属病院医療情報部, 3.特定非営利活動法人MedXMLコンソーシアム, 4.前田記念腎研究所 茂原クリニック 臨床工学部)

MMLは1995年より病院間のデータ交換を目的に開発されてきた。Version 1はSGML, Version 2以降はXMLを形式言語とし、以後、日本の医療におけるユースケースに基づいてモジュール開発が続けられていた。しかしながら、2003年にVersion 3が公開されて以後、メジャーバージョンアップは行われていなかった。
2013年ころより新規モジュールの開発が再開し、MML自体の実装についても見直しが行われた。JSONなどの別の形式への変更も含めて議論が行われたが、Version 2, 3で公開されたXMLでの実装が普及していることや、後方互換性や継続性の点で問題もあり、構造が変わらないのであれば実装コストにあまり変化はないとの指摘もあった。しかしながら、MML Version 3でもモジュール全体で統一がとれていないところもあり、その修正も必要であったことから、Version 4では大規模な改修は行わず、Version 3までの定義を整理することとし、新規モジュールの追加を行うこととした。
XMLのスキーマ定義をDTDから、現在普及が進んでいるW3C XML Schemaに変更し、既存のモジュールを再定義した。2013年以降公開されてきたバイタルサイン、体温表、処方箋、注射モジュールにあわせて、それまで透析SIGで開発されてきた透析モジュールをあわせて、2016年にVersion 4.0として公開した。
公開後、スキーマやドキュメントに誤りが見つかったため、修正を行った。修正の課程においてはGitHubを利用し、公開のもとで履歴管理・問題管理を行った。サンプルデータとスキーマの不整合を検出するため、チェックプログラムも開発し継続的にチェックを行った。本校執筆時点では、処置モジュールを追加したVersion 4.2.0の公開に向けた開発と、次期メジャーアップデートであるVersion 5の設計作業を進めている。
本論文では、MML4改訂の概要と現在の問題点について紹介し、次期バージョンであるMML Version 5について展望する。