Japan Association for Medical Informatics

[3-I-1-OP17-3] ISO15288 (JISX0170)システムエンジニアリングによるシステム構築方法論の考察
〜 新時代の医療情報人材としてのSEシステムエンジニアの育成にむけて 〜

藤本 智裕 (池田市役所)

今後ますますITシステムの重要性が高まる中、医療機関を含め、我が国におけるITシステム関連の企業や組織は、マネジメント系やビジネス系も含めた上位概念からITシステムを構築し、価値創造していくことが求められている。

 国際標準では、ITシステムも含めたシステム構築の方法論として、ISO15288 (JISX0170)「システムエンジニアリング」が定義され、「システム」を”一つ以上の明記された目的を達成するために組織された相互に作用する要素の組合せ”としている。

 しかしながら、我が国における「システム」の概念は、大学教育において文系と理系がわけられ、主に理系が「システム」を取り扱ってきたことなどから、多くが”システム=ITシステム(コンピュータシステム)”と捉えており、その流れの中でシステム構築の各種方法論が広められてきた。その結果、上位概念から俯瞰的な視点でシステムを構築する能力を有する人材が不足し、現在のITシステム関連の企業や組織の多くは、IT視点から抜け切れず、また自組織の壁を超えられず、その存在価値を十分に発揮できない状況に陥っているといえる。 

 したがって、今後我が国では、既存のシステム構築の方法論を、単にITシステムの開発運用のプロセスや技術についてのメソッドに留まらず、上流工程である価値創造や事業展開、経営管理、要求定義なども含むシステム全体の構造を決定するための、マネジメント系も含めたメソッドとの概念へ拡張することにより、人材を再開発し、新たな時代に対応するシステムエンジニアリング人材を育成していかなければならない。

 本稿では、ISO15288 (JISX0170)システムエンジニアリングをベースとして、新時代における医療情報人材の育成について考察する。