[3-I-3-PS13-1] 二つのICT医療連携システム、「h-Anshinむこねっと(はんしんむこねっと)」と口腔がん検診「NAVIシステム」に参加して見えてきたこと
地域包括ケアシステムが推進される中、急性期病院の役割が疾患に対する高度検査手術等の実施にシフトし、疾患の発見・術後のケアやメンテナンスは地域の診療所が担うことになる。そのためには病診が一体化した診療体系の構築が望まれるが、今後ICT連携がその実現に向けた情報共有の核となろう。歯科だけがこの考え方の例外ということはあり得ず、今後私達のICT連携に取り組む姿勢が問われるようになる。h-Anshinむこねっとは阪神地区の地域医療ICT連携システムで、二次救急・医療機関機能情報・患者情報共有の3システムで構成され、歯科として参画できるのは患者情報共有システムである。このシステムは機能分化した医療機関同士が連携し、地域完結型医療を支えるものであり、情報公開型病院の処方、検査結果、アレルギー情報、主治医のサマリー等のみならずCT・歯科用CBCT・MRI・PET・VFなどの画像データも共有できることから、開業歯科にとっても診療の質の向上に寄与するものである。尼崎市歯科医師会 では医科歯科連携の一環として歯科向けのむこネット導入講習会を開催するなど、歯科への普及に向けて活動している。一方で尼崎市は全がん種標準化死亡比(SMR)122.5のがん死多発のホットスポットである。歯科が関与できる口腔がんはその疾病構造から集団検診より個別検診がなじむ。口腔がん個別検診において必須のものは、やはり2次医療機関との連携である。東京歯科大学口腔がん検診「NAVIシステム」は開業歯科医院のチェアサイドと同大学口腔外科学教室との間で、診断に不安を持つ症例などに関して画像とコメントの情報共有により、精査の必要性、高次医療機関への紹介に関するサポートなど口腔外科専門医の意見が聞け、口腔がん個別検診に取り組む開業歯科医にとって有益なシステムとなっている。両システムを使用して見えてきたものを紹介し、今後のICT地域医療連携を考える一助としたい。