[3-I-3-PS13-2] 日本歯科医師会の個人情報保護に関する考え方
政府は「日本再興戦略改定2016」において医療保険のオンライン資格確認および医療等ID(保健医療分野の情報連携に用いる識別子)制度を2018年度から段階的に運用開始することなどを閣議決定した。日本歯科医師会としてもこれまでに「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」に歴代の担当常務理事が参画し議論を行ってきた。また日本歯科医師会歯科医療IT化検討委員会では機微性の高い個人情報である医療情報を保護し目的外使用が行われないよう留意しつつ、医療データを安全に共有することで高度な医療・介護を目指すことも重要であるとした答申を行ったところである。また、個人番号カードの普及促進もにらんだ医療保険のオンライン資格確認が平成30年度から段階的に導入されることに備える必要性についても言及した。歯科診療所の電子レセプト普及率(支払基金調べ)は平成29年3月診療分での件数ベースでは96.0%、医療機関数ベースでは87.3%が対応しているものの、オンライン請求に限っては医療機関数ベースで14.7%に留まっている。(光ディスク等電子媒体によるものは72.6%だった)こうした現状のままオンライン資格確認制度が開始されても対応できる歯科医院は少ないのが現状である。併せて地域医療連携用ID(仮称)によってどのような体系で連携が実践されていくのかについても今後の注視が必要である。また、地域医療連携(地域包括ケアシステム等)における公的個人認証(HPKIカード)の在り方についても検討した。HPKI(Healthcare Public Key Infrastructure)とは、保健医療福祉分野公開鍵基盤の略語であり、保健医療福祉分野における法的資格をネットワーク上で証明することが可能な電子署名の公開鍵基盤である。国家資格を有する歯科医師も当然HPKIの発行対象となる為、日本歯科医師会が認証局を立ち上げ、厚労省の認証局との相互接続によって正式な認証機関としての運用を目指すべきとの意見を答申したところである。