Japan Association for Medical Informatics

[3-J-1-OP18-5] 手術患者の情報収集における看護学生と看護師の電子カルテのアクセスログ経路解析の比較

松本 智晴1, 吉田 拓真2, 宇都 由美子3, 熊本 一朗3 (1.熊本大学大学院生命科学研究部看護学講座, 2.鹿児島大学大学院理工学研究科数理情報科学専攻, 3.鹿児島大学大学院医歯学総合研究科医療システム情報学)

【背景】看護系の大学において、電子カルテの構成、取り扱われる医療情報に関する教育が実施されている大学は少ない。看護学生は、臨地実習でほぼ初めて操作する電子カルテで膨大な情報を理解し、効率的に収集することは難しいと考えられる。【目的】本研究では、患者の手術というイベントに対し看護学生と看護師の電子カルテ閲覧時の画面遷移を比較し、看護学生の学習効果の向上に寄与する電子カルテ活用について示唆を得る。【方法】対象は、看護学生が受け持った患者の手術翌日の看護学生および看護師のアクセスログとし、看護学生559件、看護師10,272件を分析した。解析は、DEMATEL法を用いて電子カルテ閲覧画面の遷移を分析した。【結果】看護学生と看護師が主に閲覧していた画面数は5画面であった。看護学生の画面遷移は、「カルテ起動」から「経過表」、「SOAP/IE記録」、「経過表」、「診察取消」の順であった。一方、看護師は「カルテ起動」から「SOAP/IE記録」、「経過表」、「ケア実施」、「経過表」、「SOAP/IE記録」、「診察取消」であった。因果ダイアグラムでは、看護学生および看護師ともに、始点に「カルテ起動」と「診察取消」があった。【考察】電子カルテの画面遷移から、看護学生はバイタルサイン等の一般状態の把握から、看護師は患者の最新状態の把握から行っており、チーム医療に対する認識の差異が影響したと考えられた。また、複数患者の情報を閲覧する看護師に対し、看護学生は1人の患者で閲覧終了からカルテ起動を繰り返していた。本研究は、研究者らが先行研究で患者の入院に焦点をあてた分析の結果と同様の結果であった。背景として、電子カルテは多職種が効率よく情報収集、共有できるよう設計されていることが考えられる。看護基礎教育においては、チーム医療を基礎とした情報の理解、電子カルテの活用についての教育の必要性が示唆された。