Japan Association for Medical Informatics

[3-J-1-OP18-6] 同一DPCコード内症例の類型化を考慮した看護クリニカルパス生成支援システムの開発

津本 周作1, 岩田 春子2, 木村 知広3, 平野 章二1 (1.島根大学医学部医学科医療情報学, 2.島根大学医学部附属病院入退院管理センター, 3.島根大学医学部総務課)

著者らは,これまで看護オーダーの実施歴から,クラスタリングを用いて看護クリニカルパスを生成する仕組みについて提案してきた。この中で,同一DPCコード内の症例を用いてパスの評価を行ったが,眼科領域等外科領域ではこれまで看護師が作成したパスに類似のものが生成できたのに対し,脳梗塞・肺がんといった症例では複雑なパスになった。これはDPCコード内に複数の病態が含まれ,それぞれの病態によって,入院日数が異なってくる場合があり,コーディングと臨床の病態の間との乖離がそのままパスに投影された形となってしまったことによる。今回,この問題を克服するべく,同一DPCコードの症例に対して,入院日数を指標として,混合分布モデル(いわゆるEMクラスタリング)を適用し,DPCコード内の症例の分類を行った上で,退院時要約を用いて特徴付けし,分類モデルを生成,生成したモデルを用いて,改めて当該DPCコード内の症例をサブクラスに分類,分類後に,看護クリニカルパスの生成法を適用する形での拡張を試みた。具体的には,まず症例の選別を自動化するために,同一DPCコード内での疾患の類別を入院日数を指標として,混合分布モデルを用いて行い,得られたクラスについて,対応分析を用いて,得られたクラスにおける性質に対応するキーワードを退院時要約から抽出した。さらに,これらのキーワードを用いて,判別モデルを深層学習, Random Forestで構築した。次に,構築したモデルを用いて,DPCコード内の症例をサブクラスに分類し,それぞれのサブクラスの看護実行歴のデータに分割,それぞれに対して,これまで提案してきたクラスタリングに基づく看護クリニカルパスの生成法を適用した。本研究では,本プロセスの性能について2015年度の退院時要約のうち,症例数の多い10コードについて評価を試み,それぞれのサブクラスで生成されたパスは,従来法で得られたパスよりも簡易なものが得られた。