Japan Association for Medical Informatics

[3-L-1-PP5-1] 感染性心内膜炎患者の感染源と歯科介入状況調査

吉松 昌子1, 丸山 陽市2, 本多 正幸3, 梅田 正博1,4 (1.長崎大学病院 周術期口腔管理センター, 2.長崎大学病院 医療情報部歯科分室, 3.長崎大学病院 医療情報部, 4.長崎大学医歯薬学総合研究科 口腔腫瘍治療学分野)

【はじめに】感染性心内膜炎(IE)の発症は口腔内感染巣や歯科治療が原因であることが少なからずあると言われている。今回、当院におけるIE患者の感染源と歯科介入状況について、データウェアハウス(DWH)を利用して調査を行ったので報告する。
【方法】検索対象は、DWHに登録している電子カルテと口腔内情報とし、検索対象期間は2016年1月から2017年5月までとした。DWHの電子カルテ情報から感染性心内膜炎の病名を抽出し、同病名での手術例、血液培養による細菌検査において連鎖球菌陽性例を抽出した。さらに、DWHの口腔内情報から歯科受診例を抽出することで、歯科介入状況の評価を行った。
【結果・考察】病名にIEを含む例は91件あり、そのうち手術を施行した例は10件、さらに細菌検査において連鎖球菌陽性例は2件であった。連鎖球菌は口腔常在菌であるが、口腔内が原因であったかは明確ではなく、2件とも歯科の受診はなかった。また、IEで手術を施行した例のうち歯科受診があったのは7件であった。それらの細菌検査結果は、ブドウ球菌陽性例が6件、肺炎球菌が1件で、いずれも感染源は口腔内ではない可能性が高いと思われた。歯科介入状況は、パノラマまたはデンタルX線撮影:3件、抜歯:1件、スケーリング:2件、歯科衛生士実地指導:1件であった。抜歯した1件は術後7日目の処置であり、脱落誤嚥リスクにより医科から依頼された例であった。調査した期間において、IEの感染源が明らかに口腔内感染巣や歯科治療であった例は認められなかったが、今後引き続き調査を継続する上でDWHは有用であると思われた。
【結論】医科歯科連携を推進する中で、DWHが医科を受診した患者の歯科介入状況調査に有用であることが示唆された。