Japan Association for Medical Informatics

[3-L-1-PP6-5] 医師と一般市民、企業研究開発者に分けた意識調査に基づいたPHRに蓄積される情報の2次利用のあり方の研究

吉田 真弓, 山本 隆一 (一般財団法人医療情報システム開発センター)

<目的>改正個人情報保護法が今年5月に実施され診療情報が「要配慮情報」となり、第三者提供は本人の明確な同意が必要となった。NDBなど法律に基づくデータベース以外は、利用の目的や範囲など明確にした上で同意取得を行う必要があり運用の見直しに迫られている。一方で4月に成立した次世代医療基盤法により、診療情報の収集と匿名加工を行う認定医療情報匿名加工作成事業者が検討されている。医療機関にとっては診療情報の預け先であり、患者の個人情報保護に十分配慮した上で匿名加工情報の利用を促進することが目的である。この現状を踏まえ、各立場に2次利用のあり方と適切な同意取得について意識調査を行い結果の分析を行った。
<方法>国内に在籍する医師551名、国内成人3090名と企業の研究開発に従事する515名にWebアンケートで2回に分けて意識調査を行った。医師には臨床歴や診療科などプロフィール情報を尋ね、電子お薬手帳を代表とするPHRの利用の是非、医療用IDの必要性など共通の質問を行い、情報の2次利用や同意の取得などそれぞれに適した質問を行った。
<結果>電子お薬手帳の整備は医師が一般市民より1割高く66%、電子化調剤情報の戻し必要性は80%だった。大規模DBへの匿名加工情報の提供については、提供するが62 %だった。一般市民は、研究など公益目的の匿名加工情報の2次利用については「適切」が68%。企業の研究開発担当は「適切」が74%で、匿名加工情報提供機関の仕組みを進めてほしいは82%だった。
<考察>情報の2次利用に関しては、企業研究者がより望んでおり、NDBなど公的なDBでは利用が制限されるため、匿名加工情報提供機関への整備を望んでいた。一方で、情報を提供する側の医療機関は38%が提供を望まないとしており、今後、次世代医療基盤法に基づく制度整備あたっては患者等への配慮はもちろん重要であるが、医療機関の不安にも十分配慮して進めることが必要と考えた。