Japan Association for Medical Informatics

[3-L-4-PP12-2] System Dynamicsによる医師数充足と地域偏在の将来予測
―北海道の周産期医療を対象として―

石川 智基1, 藤原 健祐2, 森井 康弘2, 鈴木 哲平1, 辻 真太郎1, 小笠原 克彦1 (1.北海道大学大学院保健科学研究院, 2.北海道大学大学院保健科学院)

背景
北海道の周産期医療体制における課題に、各地域の医師確保が挙げられるが、将来的な医師偏在傾向が予測されており、計画的な対策立案が必要である。我々はこれまでSystem Dynamicsによる予測モデルを用いた医師不足と偏在の分析を行ってきたが、課題として診療科を考慮した分析の必要性が挙げられた。本研究では、医療計画立案に資するテータ提供を目的とし、各地域での産婦人科・小児科医師数について充足及び偏在の予測評価を行った。

方法
対象を北海道全域と二次医療圏の臨床全医師数・産婦人科・小児科医師数をとした。分析時点は2015年から2035年までの5年間隔とした。予測モデルの構築にはSystem Dynamicsを用い、モデルの妥当性は過去データの代入から誤差率を算出し評価した。また、必要医師数を基に充足度を定義し、各二次医療圏で充足評価を行った。さらに、不平等性評価の指標であるジニ係数を人口対医師数について算出し偏在の評価を行った。

結果・考察
産婦人科医師数は2015年で398人であるが、2035年で447人まで増加した(増加率:12.3%)。同様に小児科は2015年で1,001人、2035年で1,268人まで増加した(26.6%)。全臨床医師数は2015年で12,431人、2035年で15,653人まで増加した(25.9%)。ジニ係数は、産婦人科で2015年に0.459、2035年に0.462と増加したが、小児科で2015年に0.248、2035年に0.228、全臨床医師で2015年に0.140、2035年に0.121と減少した。小児科と全臨床医師数は増加し、偏在も解消傾向にあるが、地域別充足度から不足地域の存在が明らかとなった。また、産婦人科で医師数は増加するが、偏在が悪化する可能性が明らかとなった。今後、産婦人科・小児科における地域枠の活用など人的資源管理の推進が必要である。