[3-L-4-PP12-3] 北海道における地域偏在度と集中度の分析を併せた医療従事者の配置評価
【背景・目的】北海道では医療の地域格差が報告されており、二次医療圏毎の医療提供体制の整備が課題である。これまでに我々はGini係数を用いて北海道の医療の人的資源の地域偏在評価を行った。Gini係数は人口を加味した資源の偏在度の評価指標であり、人工と資源量を分けた評価や資源の集中度の評価ができない点が課題である。市場集中度の評価指標であるHerfindahl-Hirschman Index(HHI)を用いることで、資源量が多い対象と少ない対象のどこに問題があるかを明確化できると考えられる。そこで、本研究では医療の人的資源配置の詳細な評価を目的に、人的資源の地域偏在度に加え、集中度の評価を併せて行った。【方法】対象年度は2015年、地域は北海道の二次医療圏とした。従事者の集中度の評価として、病院勤務する医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士に関してHHIを算出した。従事者の稼働病床分布に対する分布の評価指標として稼働病床数のHHIを算出した。地域偏在度の評価として、上記職種についてのGini係数を算出した。Gini係数の分析単位は人口あたり従事者数とした。【結果・考察】HHIとGini係数は薬剤師で0.292、0.159、医師で0.287、0.163、作業療法士で0.286、0.289、理学療法士で0.275、0.272、看護師で0.248、0.160、診療放射線技師で0.236、0.137であった。医療従事者のHHIは稼働病床数の0.229よりも高く、稼働病床数よりも集中度が高いことが示された。薬剤師のHHIは最も高く、都市部への集中度は高いが、Gini係数は他職種と同程度で、北海道全体では他職種と同程度均一に分布していることが示された。理学療法士と作業療法士のHHIは多職種と同程度であったが、Gini係数は高値を示した。他職種とHHIが同程度でGini係数が高い場合、従事者数が多い医療圏への集中は同程度であるが、従事者数が少ない地域を含む北海道全体では偏在が大きいことを意味し、従事者数が少ない地域での理学療法士、作業療法士の充足検討の必要性が示された。