Japan Association for Medical Informatics

[3-L-4-PP12-6] 地域医療連携システムの基礎情報を目指した診療情報提供書の分析とカテゴリ化

石崎 潤1,2, 宮部 剛実1, 西村 治彦2 (1.大阪府済生会吹田病院, 2.兵庫県立大学応用情報科学研究科)

【目的】
 平成37年に向け、厚生労働省は地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。このようなシステムを構築するためには地域の医療・介護・保健など関係施設間での連携・情報共有が必須である。医療施設間においての情報共有は診療情報提供書である。診療情報提供書は症状、既往、現在の処方など様々な情報が自由文形式で記載されており、記載内容は疾患や医療機関によって様々である。本研究は診療情報提供書の記載内容を把握し、地域の施設間の情報共有のための標準化を目指し、診療情報提供書(以下紹介状とする)の分析を行った。
【方法】
 近隣医療機関から当院宛の紹介状を用い分析を行った。分析に際し連結不可能匿名化し、対象者の個人的情報は一切保持しないなど倫理的配慮を行った。分析の範囲は下記の通りとする。
対象:診察・転院依頼
期間:平成24年4月
分析方法:
1.紹介状の転記
2.紹介状毎に紹介用途と記載項目を付加
3.付加情報について整理・分析
【結果】
 本研究では320例の紹介状に対し分析を行った。その結果、紹介の用途としては22項目(2次健診依頼、診療依頼、専門加療、連携診療、ほか)に分類された。その中で、紹介の用途が「専門加療」の紹介状が全体の65%を占めていた。
 また、記載内容は大項目7項目(紹介背景、患者情報、診察状況、臨床検査、ほか)、小項目26項目(紹介元加療中、現病歴、既往歴、症状、所見、診断、血液検査、ほか)に分類することができた。紹介用途別に記載項目の記載頻度を集計することで、紹介用途毎の記載内容の特徴を把握できた。特に診療科別の専門加療の紹介状において、記載内容に大きな差異がみられた。
【考察】
 本研究により、記載されている内容の項目・頻度など形式のなかった情報を体系的にカテゴリ化することができた。今回は内科系の1ヶ月間の紹介状に対する分析であるが、今後は診療科や期間を増やし分析を行う必要がある。本研究で得られた結果は、紹介状フォーマットの標準化(テンプレート化)と地域医療連携システムへの組込みのために有用な基礎情報となることが示唆された。