Japan Association for Medical Informatics

[3-L-5-PP13-3] DPCデータと電子カルテデータを使用した診療記録量的点検機能の実装

初山 貴 (北海道大学病院)

【背景および目的】
 2016年度の医療法施行規則改正により、特定機能病院ではインフォームド・コンセントの実施状況や診療記録の記載状況等を定期的に把握し、適切でない事例が認められる場合は、必要な指導・研修等を行うことが必要となった。
 当院では、以前より診療記録の質的点検を行い、診療記録記載状況の把握を行っているが、量的点検は退院時要約や侵襲的医療行為の説明承諾書等、一部の文書のみのチェックに留まっていたことから、今回診療記録記載状況を網羅的に把握する仕組みとして、診療記録の量的点検機能を実装したので、報告する。
【方法】
 入院相対日別DPCコード別の記載状況を把握するため、DPCのD・E・Fファイルを結合し1つのファイルとした。結合したファイルに診察記事(SOAP記事)が記載された電子カルテデータを追加した。次に、外来日・入院期間中の記載状況を把握するため、DPCのFファイルを1日1レコードにグループ化し、診察記事(SOAP記事)が記載された電子カルテデータと結合し、記載の有無を判断するフラグを付与した。これらのファイルはすべてBIツールであるQlikviewにインポートした。

【結果】
Qlikviewに加工したDPCファイルや電子カルテの診察記事の情報をインポートすることにより、外来および入院診療延べ日数分(月平均70,000件)の診療記録記載の有無が把握可能となった。

【考察】
診療記録の量的点検は、以前より診療情報管理士が目視で確認し、日々の記載状況の把握に努めてきたが、電子カルテ導入医療機関が増加している現在においても、何らかのシステムを導入して診療記録の監査を行っている報告は少ない。
本機能は、システムの追加負担をせずに診療記録の量的点検を行うことができることから、大変有用であると考える。