Japan Association for Medical Informatics

[3-L-5-PP13-5] ICTを利用した訪問歯科診療での嚥下機能評価情報の共有

山下 利佳1, 三串 伸哉2, 川崎 浩二3, 松本 武浩4, 本田 正幸4 (1.長崎大学病院総合歯科診療部, 2.長崎大学病院特殊歯科総合治療部, 3.長崎大学病院 地域医療連携センター, 4.長崎大学病院 医療情報部)

有病者や要介護高齢者等の誤嚥性肺炎や低栄養の主な原因に口腔の機能低下や清掃不良が含まれることや,糖尿病,心疾患,認知症などの疾患と歯科疾患の関係が明らかになり,地域包括ケアにおける口腔機能の維持・向上の重要性が認識されるようになった。これに伴い,医科診療所からの訪問歯科診療の依頼も増えている。一方,訪問歯科診療を受けている症例の半数近くに嚥下障害が認められたとの調査報告もあり,訪問での摂食・嚥下に関する診療が必要とされている。近年では,この分野に積極的に取り組む歯科診療所も増えているが,訪問で嚥下内視鏡検査(VE)を実施している歯科医師はまだ極めて少ない。そこで,長崎大学病院では,2015年12月より,摂食嚥下リハビリテーションセンターの歯科医師が嚥下評価訪問診療を開始した。これは,地域の主治医が,嚥下障害があり栄養状態改善のために評価・リハビリが必要と判断した患者さんに対し,長崎大学病院が後方支援として嚥下評価・指導の訪問診療を行い,その後の管理は地域を中心に行ってもらい,大学は必要に応じて再評価・指導を行うというシステムである。ここで,嚥下機能評価(VE)の結果や指導内容等について,多職種間で情報を共有し,連携を密にするため,同意が得られた患者については,長崎地域医療連携ネットワークシステム(あじさいネット)の多職種連携を利用する。これにより,多職種連携のグループ診療に登録されたメンバー(医科主治医,かかりつけ歯科診療所の歯科医師,長崎大学病院摂食・嚥下リハビリテーションセンターの歯科医師,かかりつけ薬剤師,訪問看護師,歯科衛生士, 栄養士,ケアマネジャー,MSW,訪問介護員等)は,「ノート機能」または「患者メモ機能」を利用して,VEの画像や評価・指導に関するコメント内容を瞬時に共有できるため,口腔機能の情報を十分に把握し,その後の診療・ケアや他職種との連携に役立てることができる。