一般社団法人 日本医療情報学会

[3-L-5-PP13-6] 病院情報システムを用いた歯科処置オーダ及び診療報酬算定の問題点

青島 公彦1, 坂本 啓太2, 宮内 彩奈3, 内田 貴子3, 山本 伸一3, 木下 陽介1, 山田 啓子1, 小堀 実1, 水沼 秀之1, 笹倉 裕一1,4 (1.(医)小山記念病院歯科口腔外科・顎口腔インプラントセンター, 2.(医)小山記念病院医療情報部, 3.(医)小山記念病院医事課, 4.神奈川歯科大学顎顔面外科学講座)

【目的】当院(224床)は2015年5月に病院情報システムを更新した。従来,歯科はレセプトコンピュータを使用していたが,これを機に移行した。その後2017年1月より電子カルテに移行した。完全に移行してからの運用5か月ではあるがその処置入力及び診療報酬請求の問題点などについて報告する。
【方法】当院はシーエスアイ社製のMI・RA・Is-PXを基幹とする病院情報システムを導入し,2017年1月より全科が電子カルテ化された。ベンダー側が提供した歯科処置オーダ項目は単なる診療報酬点数表コードの配列であり、多忙な歯科外来診療での入力は困難と判断した。そのため歯科診療行為マスターを処置項目毎に当科歯科医が階層式に組み直し、ベンダー側がこれを設定した。
【結果】処置項目を選択後に歯式を選ぶシステムのため、複数の処置項目のセット化は困難であった。そこで歯式だけの処置項目を作成し、歯式選択後にセット化された項目をオーダできるようにした。しかし、選択ミスをチェックする機能はなく,またオーダ入力後に事務員による医事会計システムでの取り込みと会計入力の操作が必要になった。また部位と病名は処置と連携せず、登録が煩雑になった。更に摘要欄コメントが医事会計システムにそのまま登録されず、事務員にて再度入力することになった。以上の理由により、レセプトの点検時に新システム導入前に比べ10倍以上の時間を費やすことになった。
【考察】歯科用部門システムの導入は高額なため中小規模の病院では導入は困難である。また現状の病院情報システムをそのまま利用したのではチェック機能がないため処置オーダに誤りが多く、更に会計操作時にもミスを生じている。今後,病院歯科で病院情報システムを普及させるためには,実態に即した歯科外来処置入力機能やチェック機能の安価な提供など,ニーズにあったベンダーの歯科向けの開発営業努力が必要と思われた。