Japan Association for Medical Informatics

[3-L-5-PP14-2] 電子クリティカルパスの普及に向けたパス教育の取り組みとその効果

一橋 了介1, 松本 武浩1, 宮崎 望弥1, 岡田 みずほ2, 江副 智美1, 西口 真由美1, 和田 貴寿1, 伊藤 眞由美1, 本多 正幸1 (1.長崎大学病院 医療情報部, 2.長崎大学病院 看護部)

長崎大学病院では、2009年6月よりクリティカルパス(以下パス)の普及と電子パス適正運用による医療の質向上を目指してパス委員会をリニューアルした。新パス委員会にはパス監査、教育、患者用パス作成、医療用パス作成支援、パス改訂支援の5つのWGを合わせもっており、このWG活動によりパス運用の活性化に取り組んでいる。電子パスの使用は紙媒体に比べ、情報共有や指示の効率性に加えデータ分析を行う上で非常に有効であるが、正しい操作方法や運用方法に関する知識を必要とする為、適正運用のハードルは高い。そこでパス教育グループでは適正な電子パスの作成と運用を支援するため2013年6月より入職する全採用医師をはじめ、新人看護職員や病棟看護師に対してパスの操作研修を開始した。その研修実績とその効果について報告する。研修はパス教育グループ委員である看護職員と事務職員が講師として、最大35名同時操作可能な電子カルテ研修室にて医師には60分、看護師には45分の研修時間を設け操作実習形式にて集団で行っている。2013年から2017年現在まで実施してきた研修後の理解度、満足度に関するアンケート調査結果では「非常に満足、満足した」と回答した医師が93%、看護師は99%、理解度については「十分理解、概ね理解できた」と回答した医師が94%、看護師は99%、研修の必要性については9割の医師、看護師が「必ず必要である」と非常に高い評価を得た。一方、その間のパス使用率は2013年5月が38.8%に対し2017年4月現では41.9%に上昇し月平均利用数も559件から621件に増加していた。また在院日数は15.2日が13.5日に短縮しており、その間大きな病院運用の変更や介入はないことから、本取り組みがこの結果に少なからず影響しているものと思われる。今後本取り組みの直接的な効果を評価することで、それを裏付けする予定である。このように電子パスの適正運用に関するパス教育の取り組みはパスを普及させ、医療の質向上と在院日数短縮に必要な運用支援と言える。