Japan Association for Medical Informatics

[3-L-5-PP14-5] 処方オーダー時の用法制限機能の導入と評価

鵜飼 和宏, 木下 元一 (名古屋第二赤十字病院薬剤部)

【背景】医薬品のなかには添付文書で決められた用法を守らないと大きな事故に繋がるものがある。薬剤師法第24条では薬剤師の疑義照会義務について定めているが、薬剤師の目視による処方監査には限界がある。通常、電子カルテの注射オーダーシステムでは、薬剤ごとに使用不可手技設定が可能であるが、処方オーダーシステムにはそのような機能は無く、睡眠薬を朝内服と指示するような間違いを防止できない。そこで、処方オーダー時の不適切な用法指示を防止するため、電子カルテに用法制限機能を実装し、その効果について評価、検討した。
【目的】処方オーダー時に不適切な用法登録をなくす。薬剤師が行う処方監査の精度を上げる。
【方法】内服薬や外用薬の医薬品マスターに使用可能用法の登録を可能とし、処方オーダー時に選択できる用法を薬品ごとに設定した。対象薬剤と用法は、糖尿病薬(α-GI、グリニド系)は「食直前」、睡眠導入薬は「夕食後」「寝る前」「不眠時」など、ビスホスホネート製剤は「起床時」と設定した。設定前3ヶ月間と設定後2週間で、対象薬剤が不適切な用法のため修正を必要とした件数を調査した。
【結果】設定前の3ヶ月間で不適切な用法のため修正が必要であった件数は、糖尿病薬、睡眠導入薬、ビスホスホネート製剤でそれぞれ41件、3件、2件だった。設定後はすべて0件だった。
【考察】用法制限機能を用いて不適切な用法登録をなくすことができた。また、用法登録の制限により、薬剤師の疑義照会もれや大きな事故に繋がる可能性の減少が期待できる。ビスホスホネート製剤と睡眠導入薬の多くはあらかじめ設定した用法が自動入力され、修正件数が少なかったと考える。用法の自動入力は、設定した用法以外でのオーダー時は修正が必要という短所もあり、用法が多岐にわたる糖尿病薬では用法制限機能が有効と思われる。今後、用法制限機能が有効な薬剤を模索し対象薬剤を増やしたい。