Japan Association for Medical Informatics

[4-A-1-PS14-1] 医療ITにおけるリスクコミュニケーションツールの活用とは

若林 進 (杏林大学医学部付属病院 薬剤部)

リスクコミュニケーションとは、リスクに関する正確な情報を、行政、専門家、企業、市民などの関係者間で共有し、互いに意思疎通を図ること、と定義される。従って、医薬品におけるリスクコミュニケーションとは、行政、製薬企業、医療従事者、患者の間で、副作用などの医薬品情報を共有し、活用していくことである。またリスクコミュニケーションツールとは、その医薬品情報を提供する様々なツールを指すことになる。
医薬品を適正に使用するためには、医薬品情報を医療現場に適正に提供する必要がある。医薬品情報の中心となるものとして、医療用医薬品添付文書(添付文書)が挙げられる。しかしそれ以外にも、医薬品インタビューフォーム、患者向け医薬品ガイド、医薬品リスク管理計画(RMP)などの医薬品情報が製薬企業や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から提供されている。従って、これがリスクコミュニケーションツールになるのだろう
一般的に病院情報システムや電子カルテには、リスクコミュニケーションツールである添付文書の情報が搭載されており、診療の過程で参照できるようになっている。また、医薬品のデータベースを利用して、各種チェック機能が働くような仕組みを構築している施設もある。しかしこれらは全ての施設において共通の仕組みではなく、施設の規模や病院情報システムに対する考え方によって大きく異なっているのが現状である。また、前述の様々なリスクコミュニケーションツールを電子カルテなどで活用することは、まだまだできていないのではないだろうか。
今後これらの様々なリスクコミュニケーションツールを、「価値のあるツール」または「標準機能」として医療IT中に組み込んでいき、そしてそれを活用していくようにすることが課題であると考える。