Japan Association for Medical Informatics

[4-A-1-PS14-6] 基本的なリスクコミュニケーションツールとしての標準用法・1回量処方

野村 浩子 (一般社団法人徳洲会 大阪本部)

医薬品の適正使用を考える上で、処方医が意図する服用方法及び服用量は、特に意識しなくとも関係者に正確に伝達されていることが前提であり、その情報伝達に疑問を覚えることはないと思っていないでしょうか。しかしながら、服用方法及び服用量をはじめとする処方せんの記載方法は、施設ごとの解釈や内規によって少しずつ変化を遂げ、バラエティに富んでいるのが現状です。そして、それらが統一されていないことに起因した、処方せんの記載ミス・記載漏れ・指示確認の誤りなどのエラー事例や医療事故が繰り返し報告されています。また、医薬分業率(日本薬剤師会:処方せん受け取り率)は平成28年度では71.7%、面分業が定着している現状において、誰が受け取っても、正確に情報伝達される標準化された処方せんは不可欠となっております。そこで、処方せんの記載項目の標準化についての検討会が発足、平成22年1月に「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書」(以下、報告書)が厚生労働省医政局と医薬食品局から発出されました。報告書では「内服薬処方せんのあるべき姿」として5つの大原則が示され、その中で服用方法については標準用法を用い、服用量については1回量を標準とすることが明示されています。
当グループでは、平成25年10月に2施設同時稼働(電子カルテ新規導入)を皮切りに、平成27年5月には1日量入力から1回量入力への移行を可能にし、平成29年8月現在、24施設で1回量入力・標準用法を実装し運用しております。具体事例を交え、基本的なリスクコミュニケーションツールとしての標準用法・1回量処方について考察を行います。