Japan Association for Medical Informatics

[4-A-2-JS10-4] MEDINFO2017に見る医学医療におけるAI研究動向

今井 健 (東京大学 大学院医学系研究科 疾患生命工学センター)

医学医療分野のAI関連技術の応用研究は初期1970年代のエキスパートシステムの開発から始まり長い歴史を有する。医学用語や概念の整理、知識表現・知識推論処理に加え、自然言語処理、画像処理研究と広がりを見せ、その後電子カルテ導入の進展に伴い大規模データベースを背景とした統計処理による医学知の発見、各種機械学習による検索・分類タスク研究が盛んとなった。近年では深層学習といった発展著しい技術の診断支援への応用、蓄積される診療情報の2次利用に向けたe-Phenotypingなど新しい展開を見せている。
多様な広がりを見せる本分野をその臨床での問題意識と技術進展の両方の側面から俯瞰し、世界の潮流を一早く把握することは重要であり、本学会でも数年に渡り大会企画Year-in-Reviewを行ってきた。今年はかつて3年周期の開催であったが2013年以降は隔年開催となった医療情報学の最大規模の国際会議の1つであるMEDINFOの開催年である。そこで本発表では8月21日〜25日中国杭州で開催される第16回 World Congress on Medical and Health Informatics (MEDINFO2017) における Health Data Science 並びに Knowledge Management セクションの発表を中心にいくつかの事例をピックアップし、最新の医学医療分野におけるAI関連技術の応用研究動向を紹介する。