Japan Association for Medical Informatics

[4-A-2-PS18-1] 看護の専門性に裏づけられた高度な判断や情報提供を支援するアセスメント重視のケア計画マスタの実現

宇都 由美子 (鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)

少子高齢社会の急速な進展は、医療制度改革にも大きなインパクトを与え、地域包括ケアシステムの構築が短期間で進められようとている。急性期医療から在宅までの円滑な連携を図り、地域全体で患者や高齢者を見守る仕組み作りが模索されている。病院の機能分化,さらなる在院日数の短縮化が求められる中、看護の役割も大きな方向転換を余儀なくされている。すなわち、①入院目的の達成・アウトカムに焦点を当てた看護実践、②症状のコントロール・マネジメント、③日常生活動作の自律への支援であり、効果的なケアの提供が地域包括ケアシステムの構築に不可欠な要素となる。労働生産層人口が減少し、高齢人口が増大していく過程において、CureよりCareに対するニーズが高まり、医療情報と介護情報の切れ目のない連携が求められる。医療や介護のICTは急速な進展を見せているが、情報の連携のためには、情報交換に必要な用語や項目の標準化が重要である。

日本医療情報学会の課題研究会として、我々は「医療ICTと在宅連携のための標準看護マスタのモデル研究会」を発足させた。目的は、我が国に適した医療ICTにおける標準看護マスタのモデル化を図ることである。電子カルテの開発、普及は、診療記録の役割と可能性を大きく変えた。チーム医療の推進や患者との情報共有の有効なツールとして、医療従事者のみならず国民からも大きな期待が寄せられている。我々は電子カルテをはじめとする医療ICTを利用して、看護の専門性に裏づけられた高度な判断や情報提供を行っていきたいと切に願っている。そのために不可欠なアセスメント重視のケア計画マスタの実現のために、本シンポジウムで皆様と忌憚のない意見交換ができることを期待している。