Japan Association for Medical Informatics

[4-A-2-PS18-2] 患者と共有する看護計画はどう表現するべきか
(長崎大学病院版患者参画型看護計画立案方式の導入経緯と現状)

岡田 みずほ (長崎大学病院)

医療の進歩と共に、看護業務も年々複雑化・高度化している。このような現状の中で特に、直接ケアに十分な時間が取れないことを指摘する声もあり、看護業務の可視化と最適化は喫緊の課題である。さらに、2年に一度実施される診療報酬改定では、入院基本料の算定要件を満たすために必要とされる記録が年々増加しており、入院時に作成する文書も倍以上となっている。加えて、年々在院日数が短縮する中で、実践した看護ケアをいかにタイムリーに的確かつ効率的に記録できるかは、看護管理においても大きな課題の1つであるといえる。
当院では、詳細なタイムスタディ調査の結果と様々な経験知を持つ看護師のグループ毎に開催したワークショップでの検討結果を元に、平成23年に長崎大学病院版患者参画型看護計画立案方式を考案、運用を開始した。そして、我々が実践したい「寄り添う看護」を基本方針とした「私たちはどんなときも安心と信頼を得られる看護を提供する」という理念に基づく「看護」を実践し記録できるように努めている。
当院が考案した患者参画型看護計画立案方式では、「患者のありたい姿」や「患者がありたいと思う状況」を患者と語り合いながら明確化し、これを「患者の目標」へ反映させる仕組みとなっている。さらに、患者の目標達成に向け、標準看護計画(看護基準)やクリティカルパスによる標準ケアと、患者個別の計画を組み合わせて患者と共に行動計画を立案する。これにより、患者が主体的に目標達成を目指すこと、看護師がライフサポーターとして患者を支援することが可能となる。また、「患者の目標」は患者の言葉そのもので記載されるため、多職種での共有、多角的な視点からの「患者の目標」達成の支援やアウトカム評価が可能であり、地域包括ケアシステムの中で継続的な介入と評価が従来以上に活発化できると考えている。
今回は、長崎大学病院版患者参画型看護計画立案方式の導入の経緯および導入後5年を経過した現状について報告する。