Japan Association for Medical Informatics

[4-A-2-PS18-5] 看護マスタを活用するための院内教育とその課題

伊藤 明美 (独立行政法人神戸市立医療センター中央市民病院)

当院では2011年7月1日に電子カルテシステムを導入した。導入時に2002年から使用されてきたNANDAの看護診断ラベルの使用について検討し、あらためて標準看護計画を作成し看護支援システムを構築した。
構築に際して、以下の2点を目標として掲げた。1点目は、患者目標を誰にでもわかりやすい表現にすることで、患者や家族、他の医療スタッフと看護計画を共有できること、2点目は看護計画が実施され、その行為が記録に連動されることを目指した。用語表現のばらつきをなくすために、看護師が行っている看護実践用語をMEDIS-DCをベースに整理した。また、観察項目とその結果表記も統一を図った。その上で看護計画の内容と観察やケア行為の紐付けを行い、実施した内容が確実に記録に残るようにマスタで整備した。また紙カルテ上、実施していた様々な処置後の観察などが抜けないように、看護ケア行為をセット化し、実施記録として残せるようにした。その結果、看護計画で立案したケア行為が記録に残るようになった。
取り組みの過程において、従来の問題志向型から目標達成志向型への意識改革が必要であった。看護計画のマスタを作成する中心となるスタッフを対象に、看護マスタの考え方について説明をおこなった。
今後の課題として、標準看護計画とクリニカルパスの目標が完全に一致していないものも生じている。また看護ケア行為をセット化したことで、逆にケア行為項目を選ぶだけの手段となっている現状もみられている。
マスタに組み込むと個々の看護師による変更はできない。実践している看護や記録をどのようにマスタに組み込んでいくのか、また電子カルテを利用する人たちで、そのもととなる概念を共通理解していくことが必要である。