Japan Association for Medical Informatics

[4-A-2-PS18-6] これからの看護マスタの活用と展望

柏木 公一 (国立看護大学校)

標準看護計画という書籍が初めて日本で出版されたのは1993年である。
その後、急性期医療機関では、在院期間が半分以下になり、転倒転落などの入院時アセスメントもルーチンワークのようになった。
しかしながら、看護計画そのものは20年以上前からほとんど進化していない。

電子カルテに搭載されている標準看護計画には観察や介入が列挙されているが、
観察や介入の必要性は疾患や治療や個人によって大きく異なる。
その判断を看護師が行い、個別の看護計画を作ることになっているがうまく機能していない。
標準看護計画の観察項目には、10年に1回の合併症も1年に10回の合併症も考慮されておらず、
重篤な合併症なのか、軽微な合併症かも区別されていない。
なぜその観察が必要なのかというアセスメントの視点がないまま
観察項目が列挙されているだけでは、効果的な観察ができているかはわからない。

一方で、データを分析する技術は大きく進化しており、どのような合併症がどの程度発生するのか、
人によってリスクがどの程度違うのかが分析可能になっている。
このような過去のエビデンスに基づいて、観察や介入の必要性を明らかにすることが
今後の標準的なケアマスタに必要なことである。