Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-JS7-1] 退院時要約の標準化に向けて.その進捗報告

渡邉 直1, 岡田 美保子2, 岩﨑 榮3, 清水 貴子4 (1.聖路加国際病院附属クリニック・聖路加メディローカス, 2.公益財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター, 3.NPO法人卒後臨床研修評価機構, 4.聖霊浜松病院)

【方法】
退院時要約(サマリー)を「入院中の状態を他の医療者に簡潔に伝えるために,必要な患者情報をまとめたもの」と定義し,国際的標準化団体や病院機能監査団体における構造提起について検討,本邦において,どのような形式が望ましいのか検討した.この際,電子カルテの普及で記載情報がデジタル化されていることを踏まえ,必要事項を効率的に自動複写できる工夫を行い,省労力で迅速に完成できる仕組みを念頭においた.2014年9月よりPOS医療学会と診療情報学会の合同委員会において,さらに2016年からは診療情報管理学会とも合同して協議を重ねていった.
【結果】
患者基礎情報*,退院時病名列(プロブレムリスト)*,アレルギー・アラート情報*,社会背景.入院時現症と既往歴,入院後経過*,手技・手術情報,退院時状態と継続薬剤情報*,退院後方針* 等が記載登録項目としてリストアップされ,それぞれの構造について規定構築が企図された.(*印のものは登録必須項目.)コンテンツの基軸はプロブレムリストであるが,診療・ケアの継続性の観点から退院時の状態情報,薬剤継続性情報ならびに今後の方針の記載も肝要となる.これらを規定した上で,既存の電子カルテ構造のまま,あるいはそれに少々の改変を加えることで容易に日常記載コンテンツからの流用が出来るように,各サマリー項目の構造を定め規格化する作業が進められている.
【考察】
現在,健康管理の80%が地域における慢性期医療ないし療養に資源投入され,急性期の病院医療は20%を占めるに過ぎないが,個々のプロブレムについて詳細な検討や影響の大きな介入が行われる急性期での医療情報の重要性は減ずることはない.これをいかに効率的,迅速,かつ省労力的に伝達できるか,退院サマリーの標準化と,それを見据えた電子カルテシステムの再構築が喫緊の課題である.今回の報告は,その方向での取組みの具体的な供覧となる.