Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-JS7-3] 利用者側の立場から

石川 広己 (日本医師会)

現代は様々な分野でICT化が進んでいるが、比較的ICT化が遅れていると言われている医療・介護分野でも、その利用がされるようになってきている。特に医事会計部門や電子カルテの分野でめざましいが、医療介護連携においても徐々にではあるがICT化が進んできている。我々の調査だとこの10年間で国の補助や自治体の補助などを受けながら構築した「ITを活用した地域医療連携」は250を超える。しかしながら、その構築費用には補助があっても運用費用については補助が付かないなど、運用においては苦戦のところが多く、十分に継続できているシステムは半数を少し超える程度となっている。費用的な問題を克服し情報連携が可能となったシステムでは、次に問題になるのが誰にどのような情報を連携するかである。連携内容は文書や画像になるが、コンパクトで相手にとって有用な情報がいかに提供できるかが問題となる。病歴のコンパクト化はどの情報提供においても必要になるが、その技術に対しては医師に十分な時間を割いて教育や訓練が行われているわけではない。日常的に病歴などのコンパクト化に対して訓練されている必要があるが、患者にとって入院した際の情報はきわめて重要でその退院サマリーは貴重なものとなる。退院サマリーから外来でのよりよい疾病管理を継続することは患者にとって基本とするべきである。医療情報連携においても重要な要素になり得るので退院時サマリーの標準化は今後情報を受ける側としても議論に加わりたい。