Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-JS7-4] 診療情報管理からみた退院時要約の標準化の課題

荒井 康夫1,2 (1.北里大学病院 医療支援部 診療情報管理室, 2.日本診療情報管理学会)

退院時要約は、退院後の診療での情報収集を容易にするものであり、現代の診療体制や、基幹病院と地域医療との関わりにおいて重要である。また、入院診療のデータベース化にも有用である。しかし、退院時要約の実際には、いくつかの課題が挙げられている。「死因統計の精度向上の視点から病院医療の質に資する退院時要約の検討」(平成25年度厚生労働科学研究、代表:大井利夫)は、全国医療機関の退院時要約を調査した結果、必要な記載項目の不足と記載不備が明らかになり、退院時要約が情報提供の機能を果たせていない可能性を示唆した。これを踏まえ、本題は退院時要約の標準化の課題を考察する。
1つめの課題は、退院時要約の作成目的と記載項目は必ずしも定まっていないことである。医療法は、特定機能病院および地域医療支援病院が備えるべき記録(22条、22条の2)として、同法施行規則に「退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約」をあげている(21条の5、22条の3)。この記録が退院時要約に該当する。また、DPC制度の参加要件でもある診療録管理体制加算は、全退院患者についての退院時要約の作成を施設基準に挙げている。これら規定には、退院時要約の作成目的と記載項目に関する言及はない。
2つめには、入院日数が短縮化し、退院時要約の作成頻度が増えたことである。厚生労働省の「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、一般病床の平均在院日数は20年間で半数に短縮(H7年33.7日→H27年16.5日)したことが明らかになった。医療現場は多忙さが増したうえ、以前よりも多くの退院時要約を作成しなくてはならない。
3つめには、電子作成の普及に伴い、引用や追記が乱用され、記載内容の質の低下が指摘されている。
退院時要約の作成目的と記載内容を明確化したうえで、広く啓蒙を図るとともに、電子作成の利点を生かした合理的な作成方法も検討していく必要がある。