Japan Association for Medical Informatics

[4-D-2-OP27-1] 英国NHSデータを用いた糖尿病医療費予測

由井 俊太郎1, 三好 利昇1, 大崎 高伸1, 伴 秀行1, ノーマン ステイン2, シーラ マコンキンデール3, マーティン ギブソン2 (1.(株)日立製作所 研究開発グループ, 2.NorthWest EHealth Limited, 3.NHS Salford Clinical Commissioning Group)

英国では、糖尿病のNHS予算に占める割合が現在では10%であるが、2035年度には少なくとも17%になると予想され、問題が深刻化している。この問題に対し、予防は有効な手段であるが、その定量的な効果を得るには相当の時間がかかる。予防による医療費抑制効果を算出するため、我々は英国マンチェスター地区サルフォード市のNHSデータを用いて医療費予測技術を開発した。
人口24万人のサルフォード市には、家庭医と病院を統合したデータベースがあり、詳細な解析が可能である。私たちは最初の試みでマルコフモデルを用いた技術開発を行ったが、健診が無いため検査値に多くの欠損値があり、またモデルの拡張に労力がかかるという問題があった。
この問題を解決するため、私たちはベイジアンネットワークベースの技術開発を行った。複雑な関係性を記述できるため、欠損値があっても補間できる。さらにネットワークの自動構築も可能になる。
サルフォード市にある11869人のデータを用いて実験した結果、欠損値の問題を解決したため、医療費の予測が可能なデータ数が約2倍になり、予測誤差も5%以内の精度を達成した。これにより、欠損値の補間とネットワークの自動構築により、医療費予測が可能になる事を確認した。